学校の授業…正規履修単位としての活用事例

 トランポリンというスポーツは、一般の人がいくらやりたくても、なかなかそれに接する機会がありません。 その為、全国各地の県や市の協会では「トランポリン教室」を開催し、トランポリン文化の普及に努めています。

 ところが学生であれば、この状況は一変し、ちょっと探せば意外と近場で体験できたりします。 それは「体操部」の存在です。 普段は部員以外に開放していない為、滅多にお目に掛かれない代物となっている場合が多いのですが、唯一新学期の新入部員歓迎会などで幸運にも体験できた人も案外多いのではないでしょうか。 勿論、体操部に入部すれば、利用OKです。

 また幼児は、幼稚園や保育園、児童館等で、また障害児は養護学校で、かなりの人数が接しています。

 では普通の学生がトランポリンに遭遇する機会は他に無いのでしょうか? 可能性は少しあります。 私立の中学校や高校、大学等では、体育の選択科目でちゃんと「トランポリン学習」という項目があるのです。 首都圏では、早稲田大、日体大、日大商学部、筑波大などで実施しており、全国的にも体育学部のある所では結構選択肢の一つとして存在しているようです。
 しかしこの「定説?」を覆す、衝撃的な新事実が最近判りました。それは2003年に関東地方へ空前の「讃岐うどんブーム」を巻き起こした事で有名な、うどんのふるさと、「香川県高松市」の取り組みです!

 この街の小中学生の殆どが、最低1〜2回はトランポリンの体験授業を30年も昔から、ず〜っと受けていたのです!

 これは私にとって大変衝撃的な事実でした。というのも、トランポリン教室に関わった方なら直ぐご理解頂けると思うのですが、この種目は個人競技である為、非常に回転効率が悪いのです。その為大抵の場合、一度に受ける受講者の人数制限を行っており、器械や人員の制約もありますが、普通は多くてもトランポリン1台に付き10人前後が限界と言われております。クラブでの練習でも5〜6人です。

 では高松市の場合、毎年どうやって大量の人員を捌いたのでしょうか?

 次に高松市文化センターの職員、Y氏からお聞きした、「センター学習授業」の展開方法を説明します。
 『高松市では昭和47年に市民文化センターを建設しました。この施設の有効利用を図る一つとして、国公立の小学校・中学校の校長会が「センター学習」という授業を考えました。

 課外学習のーつとして、遠足や野外活動などに使える時間の一部を利用しているわけです。市内の全小中学校が参加しますが、小学校は5年生、中学校は1年生が対象です。

 「センター学習」当日の時間割は、各学校が自由に組みます。文化センターにはプラネタリウム、科学展示室、工作室、音楽室などがあり、理科実験や琴など楽器の演奏体験ができます。また別館には体育館があり、こちらでは軽スポーツの卓球やバトミントン、インディアカ、トランポリンなどが体験できます。多くの学校は、午前中にプラネタリウムを中心に科学や工作など、午後からはスポーツを行うところが多いですね。

 トランポリンなんですが、これが昔から大人気で、ほぼ全ての学校が選択します。トランポリンは生徒数に応じて、2〜6台出します。指導は地元のトランポリン協会の方にお願いしています。周囲にマットを敷く程度ですが、大きな怪我などはありません。

 授業なので指導者の注意はよく守っています。監督は指導者が1〜2人、あと引率の先生が周囲の安全監視係りとなります。

 センタ一学習は30年以上になり、これまでに10万人以上の子どもたちが合わせて2回トランポリンを経験しています。子どもたちにとっては貴重な体験になり大好評です。センター学習といえば、トランポリンとプラネタリウムと言われるほどです。』
※平成14年度の実績

     小学様42校 3184人
     中学校18校 3059人

香川県高松市 市民文化センター
http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kyouiku/bunkabu/sbsenter/index.htm

 更にここではトランポリンに生徒を乗せる前に、学習シートと説明ビデオ(約20分)で、トランポリンの概要と安全上の注意をしっかり教えるので、まるで自動車教習所のような合理性があります。

 そういう木目細かな指導があるからこそ、殆ど初心者の集団でも安全に体験させられるのですね。

 因みにトランポリン1台には10人程度の生徒が付きますが、台が4台有るのと、午後の時間で2回転くらいするので、参加人数は十分に捌けるのだそうです。この点も素晴らしいですね。
『トランポリンの主催事業やイベントを企画したいが、安全性の確保に自信が無くて採用を見送らざるを得ない』とお考えになる関係者の皆さん、この高松市の取り組みはどうですか!

 しっかり指導者を付け、参加者側にも自分で危機回避が可能な年齢層のみに限定すれば、こんなに大量の人数を捌けるんですよ。せっかく在る体操器械も、危険だから出さない・使わないというのでは宝の持ち腐れです。既存のハードに最適なソフト資源が加われば、危険のリスクは回避できます。ぜひ、みなさんの街でも企画してみて下さい。お願いします。


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